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病気のお話シリーズ vol.15 “異所性尿管” 2017.1.19
今回の病気のお話ブログは、総合診療科の森下先生から
『異所性尿管』に関するお話です
後半、手術中の動画が含まれています
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総合診療科の森下です。
今回は『異所性尿管』という病気を紹介させていただきます。
異所性尿管とは?
若い女の子のわんちゃんでよくおもらしをする、
それはもしかしたら異所性尿管かもしれません。
比較的「まれ」な病気ではあるものの、雄よりも雌で
臨床症状を示すものが多い、猫より犬で多いというのは
知っていただいていてもいいかもしれません。
ややこしい説明になりますがご説明させていただきますと、
尿管とは腎臓と膀胱をつなぐ管です。
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱まで運ばれます。
膀胱は尿をためておく袋状の構造物であり、
さらにその袋からペニス、あるいは膣につながる管、「尿道」が
存在します。
膀胱~尿道の間には括約筋という尿道の周りを囲むような
筋肉があります。
この筋肉が尿道を「きゅっ」と締め付けることによりいわゆる
「おしっこのがまん」ができるのです。
尿管は本来イラストでお示しした膀胱の後ろのほう(膀胱三角)に
開口するのですが、膀胱でないところに開口してしまうと、
尿が持続的に流れでてしまい「お漏らし」という形で人間の目に
映ることがあります。
これが異所性尿管で尿失禁がでるメカニズムになります。
飼い主さんから見て気づく兆候
排尿姿勢をとらない尿失禁をする、という症状で
気づかれることが多いです。
元気食欲に問題があることはほとんどありません。
診断・治療
経過などから本疾患を疑った場合は、尿管の通常と
異なる位置での開口を見つけることが診断になります。
尿管はとても細いために当院では造影剤とCT検査を
組み合わせた排泄性病路造影を行い診断、および
手術計画を立て、顕微鏡下で正常な場所への尿管
開口部の移設手術を行っております。
“左側の壁内性異所性尿管”を診断した際の画像検査です。
オレンジの矢印が
膀胱を超えて伸びている解剖学的に異常とされる「異所性尿管」です。
当院副センター長、宇根による手術の様子をご覧ください
「動画」:約2分 下記画像をクリックしてください
最後に
異所性尿管は致命的な疾患ではないですが、持続的な
尿失禁の改善にて生活の質の向上が期待できるため、
持続的に尿疾患があるなど、気になることがあれば
一度検査を受けていただき、外科治療の可能性を模索
させていただけたらと考えております。