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病気のお話シリーズ vol.2 “がんになった動物の検査” 2015.4.30
3月からスタートしたブログ新企画
月1回の予定で先生たちが病気についてブログを書いています
第2回目は腫瘍科の田戸先生で『がんになったの検査』です
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どんな動物でも高齢になると、がんになる可能性が高くなります。
VRセンターにも毎日がんのが紹介されてきますが
どのように検査を行っているかを紹介します。
まず、行われるのは情報の収集です。
品種や年齢、過去の検査データ、体重、体温、心拍数、呼吸数の計測と
身体検査、そして症状があるのか、いつからあるのか?といった事を聞きます。
一般的に悪性の腫瘍は進行が早く、重度な傾向があるので、治療方法を
検討する上でも情報の収集は、非常に重要な点です。
その後、腫瘍があるのか?どこにあるのか?どのように周囲に
影響をおよぼしているか?を調べるために、画像検査に進みます。
当センターの画像診断装置はCT、MRI、内視鏡、そして
超音波検査装置がありそれぞれの利点を考えて、どの機器を選ぶか
判断しますが、腫瘍患者の場合はCT検査を選択する事がほとんどです。
なぜなら腫瘍は全身に転移している可能性がある為、治療方針を
決定する上では全身を調べる必要があるからです。
ネオベッツのCT検査は0.5㎜の幅で全身を高速でスキャンするために
64列CTを使用しています。
肺や腹部を細かく見るためには息を一瞬止める必要があります。
人間の場合はマイクで「ハイ息止めて!」と言えばいいのですが
動物の場合そうはいきません。麻酔をかける必要があります。
小型犬なら10秒以内で全身のスキャンが終わります。
短時間の麻酔ですが、リスクはあります。
そのリスクに見合ったメリットがあるのかを考え、説明の上検査に進みます。
当センターのCT検査機器
CT検査直後に右側のエコーで腫瘍を
見ながら生検をします。
CTで見た肺転移の様子
矢印で示した4箇所が肺腫瘍です。
CT検査で腫瘍の位置が分かったら、次はどのような腫瘍が
出来ているのかを調べるために生検というステップに入ります。
生検とは腫瘍の一部を取ってきて調べる事で、今後どのように
なるのか?と治療方法を決める為に必要な検査です。
ただし、出来ている場所でおおよその診断がつく場合もあり
腫瘍に針を刺すことでデメリットがある場合は、検査では無く
手術を選択する事もあります。
何がどこにあるのかを調べる事や手術が出来るのかを判断する事は
比較的簡単なのですが、手術するべきかの判断は体力などの
兼ね合いなどで非常に難しいです。
CTガイド下での組織生検
針(矢印で示している所)を
臓器(白い部分)に刺しています
腫瘍に対する検査はほぼ終わりなのですが、本格的な腫瘍との
戦いはここから始まります。
治療方法は手術と抗がん剤と放射線治療が主体になります。
そちらに関しては別の機会に詳しく説明します。