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★学術奨励賞受賞 ~橘先生~ 2011.12.19
今回も・・・・
H23年度獣医学術近畿地区学会で学術奨励賞を受賞した
先生の症例発表を紹介します
最終回は“橘先生”
発表演題:『小型犬e-TPA脛骨形態異常症例に対し
外科的治療を実施した1症例』
今回の演題のむずかしワードは・・・
“e-TPA脛骨形態異常”
そこで、今回は脛骨形態異常についてお勉強してみます
脛骨(けいこつ)の場所は?
写真の赤い丸のところ、後ろ脚のすねの部分です。
どんな病気?
脛骨の一部が変形してしまう病気です。
脛骨形成異常にはいろいろなタイプがあります。
そのタイプのひとつが“e-TPA”。
“e-TPA”とは、脛骨の上部の角度が過度になっている状態です。
そのため・・・・
靭帯に大きな負荷がかかってしまいます。
すると・・・・
骨をつないでいる前十字靭帯が引っぱられ切れてしまいます
膝の中はこんな感じです
前十字靭帯は大腿骨と脛骨の間にあり
ふたつの骨を繋いでいます。
どんな様子?
脚が痛いので・・・
地面から脚を浮かせていたり
不自由そうに足を使います。
ケンケンで歩いている感じです
検査方法は?
身体検査で靭帯が切れているか確認
レントゲン検査で骨の状態をチェック
手術前には、骨の角度を測る為に、ものさしや分度器も登場します
治療方法は?
お薬を飲みながら激しい運動を控えて様子をみたり・・・
お薬でよくならなければ、手術をオススメします。
前十字靭帯が切れている時によく行われる手術法は
・・・『LSS』手術法・・・
切れた靭帯に変わる人工の靭帯を設置します。
・・・『TPLO』手術法・・・
脛骨を部分的に切り、骨の角度を変えて特別なプレートで固定します。
すると膝にかかる力の方向が変わり、 靭帯が切れていても
しっかり歩けます
こんな感じで絶妙な形のプレートを脛骨に設置
活動的なワンちゃんには最適です
回復が早く、再発の可能性も低いというすばらしい手術方法です。
手術を行うと・・・
『手術前より活動的になり、元気になりました~』 と言われるオーナー様が多いです
手術後は?
入院は約2~3日
定期的にレントゲン検査に来てください。
調子が良ければ、手術翌日には少し歩けます。
1週間程度で手術をした足を使いはじめるワンちゃんが多く
1ヶ月前後で、少し安静が解除
2ヶ月~3ヶ月で、元の運動量に戻れるワンちゃんが多いようです
脚につけたプレートは
オーナー様の希望や
ワンちゃんに不具合がなければ
そのままひっそり体の中に置いておく事も少なくないです
。。。。脛骨形態異常についてのお勉強はここまで。。。。
橘先生は脛骨形態異常によって切れた前十字靭帯の治療として
“LSS法”の手術ではよくならなかったヨークシャテリアが
“TPLO法”の手術で完治したことを発表されました。
通常5㌔以下の小型犬の場合、LSS法で手術を行うようです。
最適な手術法は、体格・体重・運動量・脛骨の形態など
様々な状態を確認して決まります。
今回、最適な手術法に巡りあったことでワンちゃんは
状態がよくなりました
ワンちゃんが痛そうに歩いていたら主治医の先生に
ご相談ください
『TPLO』法の手術を行える病院はまだまだ少ないです。
当センターにはTPLOを行える整形外科の先生がいます。
ワンちゃんが楽しくお散歩をしたり快適な生活を送れる様
サポートを行いますよ