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院内セミナー “心疾患セミナー” 2018.3.25
今回は、先月開催した院内セミナーについて山田動物看護師がレポートします
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こんにちは
動物看護師の山田です。
先日当センターでは、横浜からJASMINEどうぶつ循環センターの
髙野先生をお招きし動物看護師向けの院内セミナーが行われました。
テーマは
『心疾患を持つ動物が来院したら~症状・疾患別に考えてみよう~』 です。
我々動物看護師がセミナーで確認した内容ですが、動物の症状を見分ける
ポイントにもなりますので、その一部をご紹介いたします。
心疾患の主な症状とは・・・
呼吸困難
咳
運動不耐・虚脱・失神
腹水貯留
などがあげられます。
※症状別に考えると・・・・
呼吸困難とは
→苦しそうな呼吸のこと
頻呼吸、浅速呼吸、開口呼吸、努力性呼吸など様々な呼吸様式があります。
”呼吸困難の特徴は?”
・胸の動きが大きくなる
・仰向けや横になる事を嫌がり立っていることが多い
・首を伸ばすようなしぐさをする
・息を吸う時に鼻が広がっている
などが見られます。
”注意点”
・疾患があると、ストレス、不安、興奮、発熱だけでも呼吸困難は起こります。
・診察時には、ストレスをかける前に呼吸状態を観察すること、
ケージ内の患者さんの場合は、外に出す前に呼吸状態の確認を行い
必要な処置をすることが重要です。
咳
”どんな咳?”
・乾性:大きく高い音
・痰産生性:乾性の咳の後に痰を出す仕草をする
・湿性:小さくこもった音
と3パターンの咳があります。
”咳の評価ポイント”
・どんな咳をしているのか?
・どれくらいの頻度で咳が出るのか?頻度が増えてきていないか?
・どんな時に出るのか?<起床時、興奮時、飲水時など>
・どれくらいの期間続いているのか?
・咳をした時に出る分泌物は?<粘液、血混じり>
・呼吸状態は?
ちなみに・・・
⇒犬の心疾患に関連した咳の多くは乾いた咳
⇒猫は心疾患により咳をするのは稀で、胸水がある場合に
認められることはあります。
運動不耐・虚脱・失神
”どういう病気に起こるの?”
→重度の心不全状態、不整脈や先天性心疾患、心タンポナーデなどの
疾患に起こります。
”失神の特徴”
・意識:なし
・前兆:ふらつき、転倒など
・症状のきっかけ:興奮、運動、咳、排便など
・痙攣:硬直、のけぞる
・時間:数秒
・発作後:いつも通りに過ごす
※発作の様な症状を起こすので、神経疾患
(てんかん発作やその他の脳の疾患)と間違えられることもある。
”どうして失神が起きるの?”
心臓からの拍出が急激に低下することや、肺での酸素交換が
うまくいかなくなることで引き起こされます。
腹水の貯留
”主な症状とは?”
・元気食欲の低下や下痢や嘔吐などの消化器症状
・食欲の増加がないのに体重が増える
・お腹が張っている
・呼吸状態が悪い
などが起こります。
腹水が消化管や横隔膜を介して胸部を圧迫することにより
上記のような症状が起こります。
今回の院内セミナーは、他にも疾患別の対処法や診断方法、
治療法について細かくご説明いただきました。
症状は患者様によって様々ですが、心疾患を持つ患者様は
命にかかわる症状を呈しての来院も少なくありません。
来院した際は、飼い主様のお話や実際の患者様の状態などから
状況を見極め、最短でストレスのない適切な処置を行うことが
大切であると改めて認識させられるセミナーとなりました。