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病気のお話シリーズ vol.11 “角膜潰瘍”                                 2016.3.30

今月の病気のお話ブログは、眼科の小山先生から
『角膜潰瘍』に関するお話です

この後、角膜潰瘍の痛々しい眼の写真がたくさんあります

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今回は眼科の担当です。
白内障、緑内障に引き続き、角膜潰瘍(角膜の傷)について
お話したいと思います。

病気のお話をする前に、角膜についての基本的な話をしたいと思います

角膜は眼球の前面に位置し、映像を網膜に届けるために透明性であり
眼球内容物を守る強い膜として存在しています。
そのために角膜は約0.5mmという
薄い膜であるにもかかわらず強度があり
コラーゲン線維がきれいに密に並んでいる構造をしています。
角膜は表面から上皮、実質(コラーゲン線維)、
デスメ膜、内皮の四層から
なっています。



眼の疾患の中でも角膜潰瘍はよく見られる疾患です。
一概に潰瘍と言っても、その程度は様々で、

軽いものから、上記の上皮(一番上の層)までの潰瘍を
  『表層性潰瘍』

実質まで到達した潰瘍を
  『中層性~深層性潰瘍』

デスメ膜まで到達した潰瘍を
  
『デスメ膜瘤』

角膜に穴があいた状態を
   『角膜穿孔』
といい、視覚を喪失する可能性がある
    重篤な状態です

      
それとは別に、
角膜のコラーゲン線維が融解した(溶けた)状態の潰瘍を 
  『融解性潰瘍』と言います。

どの潰瘍も痛みや充血、眼脂が認められ、治療が必要な状態です

しかしながら特に危険な状態は、既に角膜に穴があいている状態の
角膜穿孔穿孔する危険があるデスメ膜瘤進行が早い融解性潰瘍です

それ以外には見た目的には重篤な潰瘍に見えなくても、
数週間から数ヶ月間
治らない
  『自然発生性慢性角膜上皮欠損(SCCEDs)』などがあります。

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『角膜穿孔』

角膜に穴があいている状態ですので、眼球内にあるもの
(主には前房水と
言われる眼の中の液体)が眼の外に
出て来ます。
液体だけでなく、虹彩
(瞳を形づくる茶色い膜)や中には
水晶体などが出てくることもあります。

眼の中の構造物が出てくることはもちろん大変なことですが
液体だけでも
出て来た場合には、眼球が虚脱し、眼内出血や
網膜剥離、将来的に緑内障を
引き起こし、失明にいたることも
あります。
出来るだけ速やかに、穴を塞ぐ
手術が必要になります。
(もしくは自然に穴が塞がるのを待ちます。)

『デスメ膜瘤』

角膜潰瘍が深くなり、内側の薄い膜しか残っていない状態です。
何時なんどき角膜に穴が開いてもおかしくない状態です。
角膜穿孔した場合には、失明の
危険が高まるため、安静にして
出来るだけ穿孔する前に潰瘍を修復することを
お勧めします。

『融解性潰瘍』


細菌感染やその他の要因で、角膜のコラーゲン線維を
溶かす酵素が働き、固い角膜を柔らかく消化し、溶かして
いく状態です。
進行が早いことが特徴で、
半日で角膜が真っ白に混濁し
柔らかくぶよぶよした状態になることもあります。
特にシーズーやパグ、ペキニーズなどの短頭種は融解性
潰瘍を起こしやすいので要注意です。
酵素の働きを止め角膜の融解を止めないと角膜が穿孔
する
ことにもなりかねません。

SCCEDs(別名:難治性角膜びらん、無痛性潰瘍)』

角膜の表面の上皮が剥離した状態で、表層性潰瘍に
分類されます。

通常、表層性潰瘍は12週間で治癒するはずですが
いつまでも良くも悪くもならない潰瘍です。
この場合点眼だけではよくならないので、角膜表面の
外科的処置が必要になります。

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治療

角膜潰瘍の治療には、原則、点眼が必須です。
角膜には血管が存在しません
ので、飲み薬では十分に
必要な薬を届けることが出来ません。
そのため直接的に薬を届けることが出来る点眼薬が
必要になります。言い換えれば点眼できなければ治療が
不十分となります。
また点眼だけでは対応できないような状況(角膜穿孔や
デスメ膜瘤、SCCEDs)などの場合は手術や処置が必要となります。

         角膜穿孔の手術前           結膜をつかって角膜の穴を塞ぐ
                                                               手術後2ヶ月目

  

反対に、手術で対応できないような状態(角膜全体の融解など)では
点眼治療が重要な役割を発揮することもあります。
また眼を掻くことにより悪化する
場合には保護のためエリザベスカラーを
つけてもらう必要があります。

個々の原因や症例、経過などにより治療方法は様々ですので
しっかりとした眼科検査を受けてください。

角膜潰瘍は眼科の疾患の中でも、よく遭遇し、オーナー様でも
見つけやすい
疾患です。
早めに見つけて、早めに病院を受診するようにしてください

つね日頃から眼を見る習慣と点眼できるようになっておくことが
望ましいで
しょう

“病気のお話シリーズ vol.11 “角膜潰瘍”                                 2016.3.30” への2件のフィードバック

  1. 田中 より:

    12歳メス、リンパ腫にて微量ステロイド投与3年半、緑内障の愛犬です。
    融解性角膜潰瘍と1週間前診断されました。

    昨日、角膜は溶けてると連絡あり。今朝再度本日受診を連絡中。

    目薬にてカイゼイは可能でしょうか。。
    経験からご意見をお聞かせいただけますか。

  2. 匿名 より:

    角膜潰瘍でした。16歳だから白内障かと思ってたら目ヤニ、掻くとゆっくり進み気づきませんでした、白内障という思い込みしてて反省です。

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