ネオベッツVRセンター(MRI・CT完備)|大阪の動物病院

ブログ

VNブログ 【大腸内視鏡検査】                                       2017.2.28

今月のVNブログは吉平動物看護師から
大腸内視鏡検査のお話です。
人間と動物の検査の違いをお伝えします。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

こんにちは。動物看護師の吉平です。
先日、私自身が大腸内視鏡の検査を受けてきました

普段、職場で犬や猫の大腸内視鏡検査を見ているなか、
まさか自分が検査される側になるとは思ってもなく、
なかなか貴重な体験でしたので今回のブログでお話
させていただきます

まず、大腸内視鏡検査とは、一言で言うと、
肛門からカメラを入れ大腸内を観察する検査です。

主に大腸内のポリープや腫瘍の有無、炎症の程度などを
観察します。
また、ポリープや腫瘍が見つかった場合は、専用の鉗子で
組織の一部を採取し、病理検査に出したりもできます。
カメラを通し肉眼で状態を見ることができるため、診断が
しやすい検査です。

下痢や便秘、血便、排便時のしぶりなどの症状がみられ
検査を行うことが多いです。

私も健康診断で潜血便が出たのがきっかけで検査を行いました

ここからは、私が受けた検査内容を交え、動物の検査との
違いをご紹介します。


まず、大腸内視鏡検査を行う事前準備として大腸を空にします
大腸に内容物が残っていると、それが邪魔し、しっかりと
観察することができなくなります。これは人も動物も共通です。

そのため、前日からの絶食が必要になります(12時間以上)。
ただ、半日程度の絶食では大腸は空になりませんので、
人では大量の水分と下剤を飲んで大腸を空っぽにします
私の場合は合計約2リットルの下剤を10分毎くらいに飲みました

では、動物も同じように下剤を飲ませるかというと、おそらく
無理でしょう。大量の下剤を飲ませるのも難しいですし、
何より下剤ですので排泄の処理が大変でしょう


そこで、動物の場合はカメラを挿入前に浣腸をして大腸に
溜まった便をかきだします

長めのチューブを肛門から挿入し、ぬるま湯を流し込んで、
大腸内を洗浄します。
(場合によっては人でも浣腸といった方法をとる場合もあるそうです。)

 
しっかりと洗浄を行い、空っぽになると上の写真のようにきれいに観察することが出来ます

次に違いを感じた点としては挿入するカメラの太さです
VRセンターで動物に使用している内視鏡カメラの先端部は
直径5.5ミリメートルのものと8.6ミリメートルのものになりますが、
今回私が検査に使用したものは14ミリメートルでした
2倍もの大きいサイズに不安にはなりましたが、特に痛みや
不快感はなく検査は終了しました



         右から5.5ミリ、8.6ミリ、14.0ミリ
   ※14.0ミリは実物がないので代わりのもので比較しています。

更に、人と動物の最大の違いは全身麻酔の有無です。
人の場合は、全身麻酔をかけて検査を行うことは
ほとんどありません。私の場合も軽い鎮静のみでした。

しかし、動物の場合は、不動化のために必ずと言っていいほど
全身麻酔をかけます。
浣腸から検査終了まで麻酔をかけた状態で行うため、検査自体が
大きな痛みとして感じることはありません。
麻酔のリスクを除けば、検査時は動物のほうが快適に行われる
のではないかと思われます。


しかしながら、麻酔の影響はしばらく残ってしまいますので、
日帰り検査ではありますが、検査後はできるだけ安静にさせる
必要はあります


今回、大腸内視鏡検査を受け、改めて検査の有用性を
知るとともに、検査前の大きな不安と言うものを感じました。

終わってみると低侵襲の検査で日常生活への影響も
ほとんどありませんでしたが、検査前はいろいろとネットで
検索してかなり不安でした

VRセンターに来院される動物たちやオーナー様も検査前は
いろいろな不安を抱え来られているのだと再認識できる
よい経験でした。そのような不安を少しでも取り除けるように
接していくことが動物看護師としての役割のひとつなのでしょう。

なお、私の検査結果は大きな問題はありませんでしたのでご心配なく。。。

コメントする

CAPTCHA