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病気のお話シリーズ vol.5 “緑内障のお話”                            2015.8.31

3月からスタートした病気のお話シリーズ
眼科→腫瘍科→神経科→整形外科の順番で
お送りして参りました。ひと回りし、今月から
第2回目の眼科のお話しとなります

では、眼科の小山先生から『緑内障のお話』をお送りします

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眼のお話の2回目です。今回は緑内障についてお話しようと思います。

前回の白内障とよく似た名前ですが、全く別の病気です。
ただ白内障と同じように、人でもよくみられる病気であり、聞き覚えのある方も
多いのではないでしょうか?

実は、犬は人と同じように緑内障がよく見られる動物なのです。違いとしては、
人の緑内障の場合は眼圧が正常でも緑内障が進行していく正常眼圧緑内障が
多いのに対し、犬の場合は眼圧が上昇していることが多く認められます。
上昇した眼圧のため、視神経の細胞が傷んだり、死んでしまったりします。
緑内障はだんだん視覚(視力)が低下していく病気で、最終的に失明してしまう
こともある怖い病気です。

白内障も見えにくくなりますが、前回お話したように手術すると視覚は回復します。
しかしながら緑内障の場合は治療を行っても、視覚が回復することは無く、
あくまでも進行を抑えることしかできません。
そのため緑内障の場合は早期発見、早期治療が大事なのです。

眼圧の上昇がおこると、眼の白濁や充血、痛みなどがみられます

視覚の低下より、眼の異常を訴えて病院に来られることがほとんどです。
ただし、眼の白濁や充血、痛みを起こす病気はたくさんあり、緑内障と
診断するには、眼圧測定や眼底検査が必要になります。
眼圧検査は眼圧計により行い、眼底検査は眼底鏡にて行います。


眼圧検査中


眼底検査中

 

眼底検査で、緑内障の眼はこのように見えます


また検査にて緑内障の原因を特定することも大事です。
眼圧は眼の中に存在する房水という液体によって左右されます。
通常は、虹彩の奥にある毛様体で産生された房水が瞳孔を通り、
前房に貯蔵され、隅角(角膜と虹彩の間)を通って眼外に出ていきます。

その出口が年齢や犬種による変化で詰まることにより、眼内に房水が
溜まり眼圧が上昇してきます(原発性緑内障)
他の眼の病気によっても房水が貯留し、眼圧が上昇することもあります(続発性緑内障)
柴犬、アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズーなどでよく見られます

眼圧が高くなり視神経細胞が死んでしまうと失明してしまうため、可能な限り
早く眼圧を低下させる必要があります。主には点眼薬を使用しますが、
下がらない場合、手術を行うこともあります。
残念ながら緑内障は進行していく病気なので、一生涯治療が必要になります。
また治療をしていても失明し、失明した後でも眼圧上昇により、痛みや眼球の
拡大(牛眼といいます)がおこることもあります。


左眼が緑内障で牛眼となった眼

ちなみに眼圧が上昇すると頭痛がすると言われています
完全に失明してしまった後には、痛みと治療からの解放のため、義眼手術を
行うことをお勧めしております。


                       左眼が義眼

緑内障は失明の原因になることが多く、また見えなくなるだけでなく痛みの
原因にもなるつらい病気です。
来院されるときには既に失明していることもよく見られます。
緑内障になりやすい犬種もいます。原発性緑内障の場合は、両方の眼に
発症することもあり、いかに早く見つけて、治療して、見える期間を延ばすかが
重要になります。
お家のわんちゃんの眼に異常が見られたら、お近くの動物病院にご相談ください

 

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