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病気のお話シリーズ vol.6 “腫瘍の治療” 2015.10.10
朝晩は、すっかり秋めいてきましたね。
肌寒い日も多くなってきましたので、お体にはお気をつけてください
今回の病気のお話しシリーズは
腫瘍科の田戸先生から『腫瘍の治療に関するお話し』をお送りします。
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前回のブログでは腫瘍の検査についてお話ししましたが、
今回は治療についてです。
人間の医療と同じですが腫瘍の治療のメインは
外科治療
放射線治療
抗がん剤治療 です。
まず治療を始める上で決めなければならないのは、
目的をどこに設定するのかです。
腫瘍が問題になるのは・・・・・
原発巣による局所障害
随伴症候群(腫瘍の出す物質による症状)
転移による全身症状 の3つです。
したがって治療は局所への治療と全身への治療を考えなければなりません。
外科治療と放射線治療は局所障害に対する治療で良性腫瘍の場合は
根治が望めます。
抗がん剤治療は全身療法で全身に広がるリンパ腫や白血病、
または転移病変に対して行われますが、この治療で根治は期待できません。
リンパ節が腫れたり、癌細胞が増えることによる障害を和らげる事と、
生存期間の延長が目的になります。
手術、放射線、抗がん剤を組み合わせて、治療方法を設計しますが、
どの組み合わせがベストなのかは、その子によって変わります。
例えば・・・・・
肺や心臓が悪くて麻酔のリスクが高い場合は
手術や放射線治療は十分に考えなければなりません
腎臓が悪くて食欲がないような場合は
抗がん剤の副作用が強く出る事も予想されるので、注意が必要です。
その判断には治療のリスクとメリットだけでは無く、治療を行わない場合の
リスクも踏まえて考える必要があります。
その際に参考になるのは過去のデータですが、人間の医療ほどデータが
揃っていません
また、海外のデータの場合は品種の偏りも日本とは異なります。
人間では許されない安楽死もデータに含まれるため、純粋な意味での
生存期間の評価が難しくなります。
そういった様々な事やご家族の方の考え方なども、踏まえて治療方針は
相談しながら決めることになります。
ワンちゃん、ニャンちゃんは治療方法を決める事は出来ませんので、
最終決定はご家族にして頂かないといけません。
ネオベッツVRセンターで治療方法を提示する場合は、可能な限りデータを
示しながらお話ししますが、どうしても専門用語を使ってしまう事がありますので、
分かりにくい所があれば、遠慮なく聞いてください