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CSブログ【家族動物の尿管結石】 2022.7.7
こんにちは。
動物病院ケアスタッフの福嶌です
今回は、私の愛猫雪虎(せつこ)が患った
『猫の尿管結石』を交えてお話ししたいと思います。
尿管結石とは、その名の通り尿管に結石がある状態のことを言います。
結石は腎臓で形成され、大きさや状況により腎臓から膀胱までの管=尿管に移動します。
正常な猫の尿管の内径は1mm以下とかなり細い管です。
この尿管に結石があると、痛みを示すことがあります
また、結石の大きさによっては尿管が詰まってしまい
腎臓で生成された尿が膀胱に流れず、腎臓に尿が溜まってしまう水腎症に陥ったり、
腎臓の働きが悪くなる腎不全に陥ってしまうこともあります
重篤な場合、死に至るケースもある病気です。
症状は様々ですが、元気消失、食欲不振、嘔吐、体重減少などが多く見られます。
診断にはエコー検査、レントゲン検査、CT検査、血液検査、尿検査
などが用いられます。
雪虎がこの尿管結石を患ったのは、約3年前です。
元々食欲旺盛な猫でしたが、ある日突然ご飯をまったく食べなくなり、
種類を変えて少し食べたと思えば立て続けに数回の嘔吐が見られました。
これは異常だと感じ病院で血液検査を行ったところ、
腎臓の数値は正常値上限の3倍近くにまで上昇しており、
CT検査にて左右尿管結石と診断されました
その後手術で尿管結石を摘出し、術後の経過も良好で、
約3年が経過した現在も元気・食欲共に旺盛です
こちらが、実際に手術で摘出した雪虎の尿管結石です
こんなに小さな結石に命を左右されるとは、恐ろしいですよね・・・
手術は当センターで行いましたが、
入院中は状態がどう変化するかも予測できず、
手術をするかどうかも非常に悩ましく、
毎日大きな不安がつきまとっていました。
そんな中で、日々接する飼い主様はこのような心境なのだと痛感しました。
当センターに尿管結石を主訴に来院される猫は多く、
ここ数年で増加傾向にあるように感じます
結石の原因は様々ですが、
これをしていれば予防ができるというものはなかなかなく、
診断後は状態に合わせた適切な治療が必要となります
当センターでの治療は主に外科手術となり、
飼い主様の入院や手術に対する不安は計り知れないと思います。
私自身、日々の業務で尿管結石の患者に携わることが多く、
自身が経験したからこそできる
食事のアドバイスや自宅での観察ポイントを飼い主様にお話ししたり、
入院中の患者には
食欲がない中でも積極的にご飯を食べてもらう工夫を凝らしたり、
少しでも少ないストレスで過ごしてもらえるよう環境づくりに工夫を凝らしたり、
ご家族と離れたことによる不安を取り除けるよう適度なスキンシップをとったりと
最大限のケアを行っています。
猫は環境変化に敏感であり、なかなか心を開いてくれない猫も少なくありません
患者のペースに合わせて徐々に心の距離を縮めることにより、
次第にゴロゴロ喉を鳴らし機嫌よく過ごしてくれたり、
食欲がなかった猫が食事を食べてくれるようになると、
こちらも嬉しい気持ちになります
現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より
入院患者の面会は原則行っておらず、LINEアプリを通して
入院中の様子を動画も交えてお伝えしていますが、
動画を見た飼い主様が『ホッとしました』、『安心しました』、『居心地がよさそう』
と言ってくださった時には更に喜びが増します
入院の際には、患者の性格や特徴、食事の好みなどを
伝えていただけると助かります。
病気や治療を乗り越えるためには決して我々の力だけでなく、
患者にとってなによりも大きな存在である飼い主様のサポートも必要なのです。
今後も雪虎との経験を活かして患者・飼い主様の心に寄り添ったケアを提供したいと
思っておりますので、少しでも疑問や不安に思うことがあれば遠慮なくお伝えください