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★学術奨励賞受賞 ~王寺先生~                                    2011.11.9

秋の学会シーズン到来
先生たちは症例発表の為、準備に大忙し

先日もH23年度獣医学術近畿地区学会が開催されました。
当センターの先生が3名、学術奨励賞を受賞しました

受賞した先生がどんな症例発表をしていたか紹介したいと思います。
初回は“神経科の王寺先生”

発表演題:『V-Pシャント術により治療した水頭症罹患犬
       10例における治療予後と合併症』

V-Pシャント術なんだかとっても難しい演題名
専門用語もたくさん。。。。
V-Pシャント術は水頭症治療の一部として行う手術です。
まずは、水頭症についてお勉強してみました

 どんな病気?
生まれながら、もしくは脳腫瘍などの影響で頭の中に
脳脊髄液と言われる無色透明の液体がたくさん
溜まってしまう病気です。
溜まった液体が脳を圧迫して脳に悪影響を与えることで
様々な症状がでます。
チワワやダックスなどの小型犬に多く発生します。

 症状は?
発作、ふらつき、くるくる回る、手足の麻痺
うつろで元気がない、視力の低下、異常な興奮

 身体的特徴は?
頭のてっぺんの頭蓋骨に隙間がある
頭が丸く腫れている
黒目の位置が外側で下の方にさがっている
成長が遅い

 検査方法は?
血液検査・・・・・・・・他の臓器に問題がないか確認
レントゲン検査・・・・頭の中に溜まった液体の位置を確認
超音波検査・・・・・・頭の中の状態を確認
神経学的検査・・・・神経の問題箇所の確認

上記検査で水頭症が疑われたら、当センターで詳しい検査を
MRI検査・・・・・・・・頭の中の状態を更に詳しく確認
            スライス画像で鮮明に確認できます

 
 頭の中の脳室が大きくなっています
 丸く囲んだところです
 脳室の中は液体(脳脊髄液)で満たされています

 治療方法は?
お薬で状態が改善しなければ・・・手術を行うこともできます
その手術方法が“V-Pシャント術”といいます。

“V-Pシャント”とは“ventriculo-peritoneal shunt”の略。
“ventriculo”は・・・脳室
“peritoneal”は・・・腹膜
“シャント”は・・・・・液体を流す道筋
 聞き慣れない言葉で頭の中は大混乱

つまり・・・頭の中の脳室とお腹をチューブでつなぎ
頭の中の余分な液体をお腹の内に移動させる手術です
     
   こんなチューブを・・・             こんな風に体の中に設置  

              
                  手術後は脳室が小さくなりました!!
              余分な液体がきれいになくなりました
              画像を見ただけでも頭の中がスッキリ軽くなった感じ
                 
 術後のリスクは?
感染や体内に設置したチューブの詰まりなどの可能性

。。。。水頭症についてのお勉強はここまで。。。。

王寺先生は、2007年~2010年の間、当センターを受診し
V-Pシャント手術を行った動物たちの手術後の調査を行い発表しました。

手術後の合併症の中で、
チューブの詰まりや捻じれなどの物理的な障害は手術後早期に
感染は手術後すべての時期に発生する可能性があるそうです。

V-Pシャントの手術を行うと、うつろで元気がない症状や
ふらつきの症状は改善するようです。
視力の回復や重い発作、異常な行動は改善しにくいようです。

症状の改善に関しては手術前に十分検討する必要があります。
当センターの経験豊かな王寺先生にご相談ください。

普通のワンちゃんのような生活が送れる可能性も
十分ありますよ

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