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病気のお話シリーズ vol.13 “胸腰部椎間板ヘルニア” 2016.10.15
今回の病気のお話ブログは総合診療科の澤木先生から
『胸腰部椎間板ヘルニア』に関するお話です
VRセンターに来院される患者さんの中でも多い病気のひとつです。
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総合診療科の澤木です。
今回は「椎間板ヘルニア」という病気をご紹介させて頂きます。
【脊髄とは?】
脊髄は、脳からの指令を伝達する最も太い神経です。
それぞれ脊髄は、
頚部(けいぶ):首の部分
胸腰部(きょうようぶ):背中の部分
腰仙部(ようせんぶ):尾っぽの付け根部分
の3つの区画に大まかに分けられます。
今回は、「胸腰部」での椎間板ヘルニアの特徴について、お話しようと思います。
【胸腰部椎間板ヘルニア】
椎間板ヘルニアとは
背骨の間には、背骨同士の衝撃を吸収する「椎間板」という
クッションがあります。
椎間板は、中心にゼリー状の「髄核」、その周囲に「線維輪」
という2層があります。
イメージは“あんぱん”を想像してみて下さい
この椎間板が飛び出てしまい、脊髄を圧迫するのが
椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアはなぜ起こるの
椎間板ヘルニアは好発犬種として
ミニチュアダックスフンド
ビーグル
シーズー
チワワ
などが知られています。
なぜ、これら犬種では椎間板ヘルニアが起こりやすいのでしょう?
これらの犬種は、「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれています。
本来なら柔らかく、衝撃吸収の役割を担う椎間板が、かなり
若い年齢で中心部の水分が減り、硬くなってしまう事で
椎間板ヘルニアが発症しやすくなってしまいます。
重症度
胸腰部椎間板ヘルニアは、重症度により5段階に分類されます。
分類は様々ですが、最も広く使用されている分類方法は以下の通りです。
椎間板ヘルニアの分類
椎間板ヘルニアは種類により、以下の2つに分類されます。
◆ハンセンⅠ型:比較的若い年齢で発生し、急に症状が出ます。
◆ハンセンⅡ型:加齢と共に、厚くなった線維輪で脊髄が圧迫されます。
Ⅱ型は、成犬~高齢犬に多く、症状も、時折みられる痛みや
後ろ足のふらつきなど、症状も緩慢としており、慢性で徐々に
進行する経過が多いです。
【診断】
身体検査、神経学的検査で脊髄障害の原因部位を絞り
主にMRIを用いて、脊髄の圧迫状況を確認します。
特に手術方法を決定する上で、MRIで椎間板物質が脊髄を
「どの様に」圧迫しているかは、治療計画を考える上で、重要な
要素となります。
また、MRIで脊髄が「どの程度」ダメージを負っているかも重要です。
【治療】
外科治療
脊髄の障害が強くみられる場合や、症状が軽い場合でも
強い圧迫がみられる場合には、外科治療を選択します。
当センターでは、
胸腰部椎間板ヘルニアに対し
◎ 片側椎弓切除術
◎ 小切開椎弓切除術
◎ 部分側方椎体切除術(Partial Lateral Corpectomy)
という3つの手術を主に使い分けて対応しています。
これら手術方法の違いは、別の機会にお話できればと思います。
保存治療
脊髄の圧迫が軽い場合は、保存治療を選択します。
この治療で最も重要なのは徹底した「ケージレスト(運動制限)」です。
痛みがみられる場合には、運動制限に併せて、お薬による痛みの
緩和などを選択します。
【最後に】
椎間板ヘルニアでの「痛み」「機能障害」といった症状は、いずれも
患者さん自身は元より、一緒に生活する御家族のQOL(生活の質)に
関わる病気です。
生涯を可能な限り快適に過ごして頂く為の、御手伝いが出来ればと
思っています。