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VNブログ 【眼科疾患のケア】 2016.10.30
今月のVNブログは眼科専任の大里動物看護師から
眼科疾患で入院している患者さんのケアに関するお話です。
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こんにちは、動物看護師の大里です。
暑かった夏も過ぎ、肌寒い日が増えてきましたね
私は沖縄出身の為、暑さには強いのですが
過ごしやすく快適な秋も好きな季節です
皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は眼科患者さんのケアに関してのお話です
以前は眼科の診察の流れに関してお話しさせて頂きましたが
今回は入院した眼科疾患の患者さんに対し行っているケアを
一部紹介したいと思います。
写真のモデル犬はサムくんです
眼科疾患の患者さんは主に白内障や緑内障、角膜潰瘍などを
患い手術を受けるため入院しています
手術後の眼は繊細で、身震いによる動きやジャンプ、興奮して
鳴く事でも影響を受けやすくなっています。
入院中のお部屋は患者さんの性格にもよりますが、寝床や食器
排泄する適度なスペースを確保し、基本安静を保てるようにしています。
中にはお部屋から出たくて鳴く子もいます
興奮しやすく、お部屋の中で飛び上がる子もいます
その場合は、人の出入りや行き来が目立たない位置にあるお部屋へ
移動したり、お部屋の扉にカーテンを設置するなどし、行動の制限や
興奮の回避を図っています。
また、手術後は眼の保護の為、エリザベスカラーの装着をしています。
万が一エリザベスカラーが外れている間に眼を擦ると縫合した傷口が
開いたり、眼内の炎症が引き起こされたりと問題が起きやすくなるため
適正なサイズの選択と着脱に気を付けています
エリザベスカラーを装着していると食事を食べなくなる患者さんもいるため
その場合は手から食事を促したり、食事中のみエリザベスカラーを外して
促してみるなどしています
入院期間中は点眼薬の投薬があり、2~3種類を1日4回程度
点眼することもあります
点眼前には眼の症状をチェックし、異常の有無を確認しています
どういうチェックをしているのかというと
まず威嚇瞬き反応の検査で視覚の有無を評価します。
片方の眼を手で覆い、もう片方の眼の前に軽く握った手を近付けます。
通常見えている眼の場合は手が近づいてくると眼をつむるので
その反応の有無で判断しています。
動物の場合は人の様に視力は測れないので、視覚の有無を
確認する為に行っています。
必要に応じて、迷路試験などで障害物にぶつからずに歩けるか
どうかのチェックを行うこともあります。
他には角膜混濁(眼の透明性)や眼脂、白目の充血、
羞明(眼のしょぼつき)などを観察しています。
眼脂が付着している際には濡れたガーゼで眼の清拭
(拭いて清潔にします)を行います
ゴシゴシ擦ると眼の傷口が開く恐れがあるため、あてがいながら
眼脂を吸い取るようにし、優しく拭き取っています
点眼時は頭を少しだけ上に向けて、怖がらせないように
後方から点眼瓶を近付け、すかさず点眼しています
ごほうびとしてオヤツが効果的な場合は点眼直後に褒めて
ごほうびを使い、トラウマの回避、ストレスの軽減を図っています。
点眼後の瞼の発赤や痒みなどを示す場合は、点眼薬による
刺激性の可能性もあるため、獣医師へ報告しています。
上記以外にも、退院の日を無事迎えられるようにお部屋の
環境整備はもちろん、気持ちのメリハリをつけるため
スキンシップを図り、短時間の散歩にて気分転換を
図るなどの工夫も心掛けています。
このようにして手術を無事終え、元気に退院する姿を
見られた際はなんとも言えず、嬉しいものです
これからも創意工夫しながら、よりよいケアを行えるよう
従事していきたいと思います。
今回写真のモデルになってくれたサムくん、サムくんの
飼い主様、写真のご協力ありがとうございました